前回の記事では、調剤薬局から企業に転職して良かったことを挙げました。
今回は、臨床開発モニター(CRA)として働いたことで、良かったことを挙げたいと思います。
- 治験や臨床研究の仕事に興味がある薬剤師
- 調剤以外の仕事を考えている薬学生
こちらに薬剤師の記事をまとめています。
臨床開発・治験の専門知識と経験を得た
調剤以外の分野で、専門的な経験を積めました。
治験の仕事と、調剤の仕事と、いざとなればどちらもできること。
子育ての一番大変な時期は、データマネージャーとして医師の臨床研究のデータ管理、電子症例報告書の構築という仕事をすることができました。
モニター(CRA)の経験があったからこそ、です。
治験の仕事は一人前になるために3年位は要するので、専門知識や経験のある人は重宝されます。
体力的にも、家庭の都合的にも、ずっとモニター(CRA)として働き続けることは大変ですが、専門知識を活かした職種はたくさんあります。
- モニター(CRA)の内勤サポート
- QC(品質管理)
- データマネージャー
- 安全性管理
- 統計解析
- CRC
私は出産後は、モニター(CRA)の内勤サポートをして、その後転職してAROでデータマネージャーをしていました。
AROの定義 Academic Research Organizationの略。研究機関や医療機関等を有する大学等がその機能を活用して、医薬品開発等を含め、臨床研究・非臨床研究を支援する組織
CROはどうしても都心にオフィスがあるので、通勤がネックになりやすいです。
最近はリモートワークやリモートSDVで出張の回数も減ってきているので、以前よりは働きやすくなってきている印象です。
大学病院などの大きな病院に、研究を支援する部署がある場合、AROでモニター(CRA)の経験を活かせる職種がある可能性が高いです。
AROは正社員を募集しているところは少ないですが、都心だけではなく全国にあるので、子持ちで時間に融通の利くパートをしたい場合、考えてみる価値が大いにあります。
ちなみに、私もリモートワークをコロナ禍で経験しましたが、子どもがいる環境で仕事ができず、私には合いませんでした。
子どもがもっと大きくなっていれば、上手くいったのかもしれませんね。
スケジュール管理能力がつく
とにかく、スケジュール管理がモニター(CRA)の命です。間に合いそうにない場合は、上司に相談。
依頼者の決めたスケジュールを守ることがモニター(CRA)の仕事です。
後方支援のQC担当者に頭を下げて、モニタリング報告書のチェックに通常3営業日要するところを、1営業日でチェックして返却してもらったり。
治験のスケジュールによっては、突然期限が決まって、施設(病院)に無理言ってスケジュール調整してもらう場面も多々あります。
期限が間に合わない理由をどのように伝えるかでも、印象がかわってくるので、ここもモニター(CRA)の腕の見せ所。
みんなが悪者にならないように、でも自分は悪くないんだよってことで、うまく事を運ばせる能力が身につきます(冗談じゃなく、ホントです)。
これこそ、コミュニケーション能力。
いろんな所に無理言って、動いてもらうようお願いしないといけない立場なので、精神的にキツイ時が多々あります。
そんなストレス耐性能力も、モニター(CRA)を経験したからこそ得たものかも。
自分の業務範囲と成果が明確
治験でモニター(CRA)をする場合、同時に1つか2つの研究を担当します。
そして、1つの研究につき、3施設~5施設くらいを担当します。
治験の内容によって多少の前後はありますが、こんな感じです。
施設のCRCや事務局と連絡を取り合って、研究が円滑に進んでいることを確認(モニタリング)して、症例報告書のチェックとモニタリング報告書を書くのが仕事です。
- 治験実施計画書から逸脱なく、被験者が研究を完遂できるようにとにかく関係者とコミュニケーションをとって調整。
- データが症例報告書に間違いなく記載されていることを確認。
- 治験薬の運搬、管理状況の確認。
- 治験届、合意書、契約書、治験審査委員会、必須文書保管確認などの、事務仕事とスケジュール管理。
- モニタリング報告書に確認したことを記録して報告(締め切りキツイ!)
やることは沢山あって、絶対に遅延できない締め切りが沢山あります。
特に初めの研究の立ち上げが、一番大変です。
自分の担当施設が円滑に研究が行われるように、神経すり減らすことも多々ありますが、達成感はとてもありました。
調剤薬局だと、どこからどこまでが自分の仕事かってあんまり無いです。モチベーションの維持が難しい仕事だと感じます。
それに比べると、モニター(CRA)は自分の担当の範囲が明確で、自分の頑張りを認めてもらいやすいです。
しっかり残業代いただけたし、ボーナスにも反映されて、嬉しかったですね。
関わった薬が、承認されて市場に出た時もとても嬉しかったです。
飛行機や新幹線で出張
モニター(CRA)の役得、全国の美味しいもの、お土産をたくさん頂きました。
部署には、モニター(CRA)がそれぞれ出張で買って帰ってきた全国のお土産が置かれていて、色々食べられて嬉しかったですね。
私が特に好きなのは、北海道の「じゃがポックル」と、福岡の「通りもん」でした!
私は札幌担当だったので、じゃがポックルはもちろん、ロイズや白い恋人など、新千歳空港でよく買ってました。
出張で、どんなお店でも1人で入って食べに行けるようになりました。
回転寿司・ラーメン・ジンギスカンを1人で食べ歩きましたね。
大通り公園や、すすきのの繁華街が懐かしいです。
今はリモートSDVも進んできたようなので、出張に行く回数は減っていると思うのですが、当時は2週間に1~2回ペースで札幌に日帰りや1泊で行っていました。
札幌の他にも、近場の施設も担当があったので、週の半分は外勤、半分は内勤でしたね。
ずっとやってると虚しく感じることもあったけど、3人子持ちの主婦になった今、もうあの自由は無いんだと思うと、すごく貴重な経験だったと感じます。
空港のラウンジとか・・・。最高でした。
今でもたまーに、松屋に一人で牛丼食べに行っちゃうのは、あの頃のような自由を思い出してワクワクするからなんだな。
医師と話し合える仕事
調剤薬局だと、医師と処方内容についてじっくりお話する機会ってあまり無いです。
モニター(CRA)だと、治験の観点から医師に意見したり、医学的見解を確認したり、とにかく話す機会がたくさんあります。
時々会話が弾んで楽しかったり、医師の忙しさを実感したり。
治験に関わってくれる先生は、基本みなさん協力的なので、積極的に話に耳を傾けてくれるので嬉しかったです。
やっぱり日本の医療は医師が中心であることも実感します。
治験においても、当たり前ですが医学的判断は医師しかできません。
臨床開発の専門の立場から、意見することはできるけど、最終的な判断は医師がします。
治験や臨床研究の場面でも、調剤の場面でも、薬剤師としての立ち位置は、やっぱり縁の下の力持ちなんだなって働いていて実感しました。
調剤以外にできる仕事があるという自信
これは個人的な考えですが。
薬剤師の調剤業務以外に、自分の能力を買ってもらえた経験が、私の自信になっています。
結局、キャパオーバーで今は専業主婦になっているのですが(苦笑)、どちらでも働けるという自信を持てたことは大きい。
もし、夫に何かあって、私が大黒柱にならないといけない状況になっても、子どもたち3人を自立させる職能を持っていることは安心です。
調剤経験がブランク10年以上なので、末っ子が幼稚園の間だけ働けるところがあれば、少しでも調剤のブランクを埋められるのになぁと、都合のいいこと考えています。
↓働けるところはありました!でも家庭の都合で辞退・・・。
まとめ
あんまり世間に認知されていない治験の仕事について、私の経験が役に立てればと思って、ブログに書ける範囲で書いています。
出産後の働き方って、みんな迷うと思うのですが、1人の女性の生き方として誰かの参考になればいいなとも思っています。
モニター(CRA)の仕事の良かった点を今回は書きました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。