源氏と平氏の戦いを、お姫様にスポットライトを当てて描いた本の紹介です。
小学5年生の娘は、この本で源平合戦、平家物語に興味を持つようになりました。
- 日本の昔のお姫様に興味がある方
- 源氏と平氏について、女性視点で描かれたわかりやすくて読みやすい本を知りたい
- 平家物語に興味を持てるようになる本を知りたい
源平姫シリーズのいいところ!
源平姫は、藤咲あゆなさんが書かれた児童書で、集英社みらい文庫から2冊でています。
源氏、平氏の姫君に1人1人スポットライトを当てて、それぞれの立場からの時代の移り変わりを、姫の視点で描かれています。
ちょうど年齢的に、小学校高学年~中高生は、姫が結婚したり大きな出来事とリンクする年齢なのですね。当時は10歳になる前から政略結婚も有り得た時代です。
歴史上の遠い存在と思えた人物が、自分と同じような心を持つ人間なんだ!って、身近に感じられるようになることが一番良かったです。
また、文章はもちろんなのですが、
何よりマルイノさんの描かれるイラストが可愛いです。
子ども心に突き刺さる可愛くも美麗なイラストです!
我が娘は、読み始めたきっかけはイラストからでした(戦国姫シリーズの花の巻から)。
が、すっかり藤咲あゆなさんの書かれる女性目線での時代小説が大好きになりました!
収録されているお姫様
- 平時子(平氏)ー平清盛の妻
- 常盤御前(源氏)ー源義経の生母
- 平滋子(平氏)ー平清盛の妻・時子の異母妹。後白河天皇の妻。高倉天皇の母。
- 巴御前(源氏)ー木曽義仲と戦った女武者
- 大姫(源氏)ー源頼朝の長女。木曽義仲の嫡男と婚約するが破局。
あとがきで、八重姫(流人だった源頼朝と恋に落ち、頼朝の初めての男の子を出産)について2ページほどですが紹介されています。
コラムとして、1ページだけですが「祇園女御(平清盛の生母?白河天皇の愛人)」「呈子(近衛天皇の中宮)」「由良御前(源頼朝の生母)」「上西門院統子(後白河天皇の同母姉)」「藤原多子(近衛天皇、二条天皇の皇后)」について紹介されています。
収録されているお姫様
- 静御前(源氏)ー源義経の愛妾。白拍子。
- 建礼門院徳子(平氏)ー平清盛の娘。高倉天皇の妻。安徳天皇の母。
- 郷御前(源氏)ー源義経の正室
- 北条政子(源氏)ー源頼朝の正室
あとがきで、「蕨姫(壇ノ浦の戦いの後、源義経の妻となった平家の姫)」について少し紹介されています。
コラムとして、1ページだけですが「小宰相(平通盛の妻)」「小督(高倉天皇に見初められた琴の名手)」「北の方(平維盛の妻)」「祇王(平清盛に見初められた白拍子)」について紹介されています。
どちらかというと、鎌倉幕府や源氏について詳しく書かれています。
表紙は、飛花の章は平時子。落葉の章は静御前。
どちらの本も、源氏側・平氏側の双方の姫が描かれていて、どちらから読んでも大丈夫ですよ!
うちは、静御前の表紙絵に惹かれて落葉の章から読みましたが、特に問題なしでした!
人物の関係図(家系図)がすごくわかりやすい
時代小説は、登場人物の名前が似ていたり、家族構成やら婚姻関係が複雑すぎて、訳が分からなくなるのは私だけでしょうか。
この本は、児童書ということもあり、相関図がすごくわかりやすいです。
私や娘のように、平氏と源氏についての小説を初めて読む場合、この相関図を見ながらだと、とっても読み進めやすくなりますよ!
「飛花の章」と「落葉の章」の相関図は異なります。2冊あると、より理解が深まります!
平氏側は、ほぼ男性の名前に「盛」が付きますよね。
容姿端麗で有名な「重衡(しげひら)」くらいかな?「盛」が付いていない殿方は。
そのため、アラフォーの私は平家の武将を混同しまくっていたのですが、この本のおかげで登場人物の親戚関係をやっと整理することができました!(日本史は苦手でした・・)
他にも、平家物語に出てくる女性に「小督」「小宰相」「巴御前」などいろいろいますが、誰と関係が深くて、その殿方がどんな立場の人なのか、相関図からよくわかるので、平家物語を読み進めやすくなります。
また、当時の天皇陛下との相関もよくわかります。
源平合戦の影の主役(?)、後白河天皇の背景もよくわかります。
日本三大怨霊の1人に数えられる崇徳天皇が、鳥羽天皇に疎まれた背景(出生の疑惑)など、すごくわかりやすい相関図となっています。
壇ノ浦の戦いで入水した安徳天皇の背景も、よく理解することができました!
もちろん、源氏のほうも、頼朝と義経を中心とした相関図のおかげで、混乱することなく読み進めることができる仕様になっていますよ!
小学5年生から読める児童書
児童書なので、とても読みやすいです。
家事育児に追われ、集中力の衰えたアラフォー女性である私でも、楽しく読めました(笑)
ルビがふられているので、知らない漢字も子どもは自然と覚えられます!
それぞれのお姫様の生涯を追いつつ、歴史に沿った解説もしっかり入りながら物語は進みます。
壇ノ浦の戦いなど、大きな出来事は自然と頭に入るし、やっぱり義経の存在感が半端ないですね!
源平姫では、誰も悪人として書かれていません。
これは、戦国姫シリーズから一貫して共通しています。
政治的に仕方なかったという形で、平清盛も源頼朝も、人情があったいい人風に語られています。
頼朝は、ちょっと無理があるかな~と個人的に思いますが(笑)
平清盛は、悪く書かれている本が多いですが、人間味があって私は好きです。
だから、歴史的に悪人とされている人も、みんな人間的にはいい人だったんだよ、人間って捨てたもんじゃないよって優しい気持ちにさせてくれる本です。
郷御前にスポットライトが当てられた作品です
平氏が滅亡した後、源頼朝は義経を追い詰めて自害に追いやります。
その背景も、しっかり描かれています。
私は個人的に、義経の正室だった郷御前(さとごぜん)が一番心に残りました。
どうしても、白拍子(男性の装束衣で舞う踊り子)である静御前が有名ですが、感情移入するのは郷御前ですね~。
(ちなみに、静御前は姫ではありませんが、重要人物なので源平姫シリーズの姫の1人として敢えて加えていると作者は語っています。)
- 自分の親・親戚が、夫・義経の動向を監視しているせいで、あんまり夫が会いに来てくれない悲しさ。
- 静御前には美貌的にも、義経の寵愛的にも負けていると自覚しつつ、静御前に優しくできる人間の器の大きさ。
- 妊娠していることを隠して、義経や弁慶たちと共に京都から平泉まで逃亡するたくましさ。
- 頼朝の圧力で、藤原泰衡に義経が討たれる時、娘も一緒に3人で自害する潔さ。
最期まで一緒に添い遂げた郷御前のことを考えると、何とか母子だけでも生き延びてほしかったなと思わずにはいられません。
郷御前は出身が埼玉県の川越です。東京からも行きやすいので、今度行ってみたいと強く思いました!
大人版の「源平姫」もあります
収録されているお姫様
- 祇園女御
- 美福門院得子
- 藤原多子
- 平滋子
- 祇王
- 小督
- 小宰相
- 平維盛の妻(北の方)
- 平時子
- 藤原輔子
- 建礼門院徳子
収録されているお姫様
- 由良御前
- 常盤御前
- 八重姫
- 巴御前
- 大姫
- 千手前
- 静御前
- 蕨姫
- 郷御前
- 北条政子
- 坊門姫
こちらは、源平姫の大人版。
作者が「源平姫シリーズ」と同じ藤咲あゆなさんなので、源平姫シリーズを読んだ後に読み進めると読みやすいです。
歴史ものは、作者によって解釈や人物の性格が変わってしまうので、お気に入りの作者がいると安心して読めますね(笑)
「源平姫」より少し残虐な描写がアップ。男女の営みの描写はほとんど無いけれど、少しあります。子どもにはまだ早いかな。
ルビがふられていないので、小5の娘は数ページでギブアップでした。
挿絵は、小さな絵が数か所。大人っぽい綺麗なイラストです。
「源平の姫君たち」では、赤の章は平氏の姫君、白の章は源氏の姫君と分けて描かれています。
平氏側の姫君は、平家物語に登場する悲劇的な死を遂げた女性のお話が多いですね。
また、姫ではなくて、白拍子(踊り子)や女房(姫にお仕えする人)率も高い。
私が一番衝撃だったのは、源氏側の白の章で登場する、源頼朝の最初の男子を産んだ八重姫ですね。
頼朝の非情っぷりがよくわかるエピソードです(怒)。
天下統一する人は、人間味があったら成しえないってことだろうけれど。
「源平の姫君たち」の本には相関図が無いので、私のような日本史に疎い人間が読むには、「源平姫」の相関図が大いに役立ちました!
読了すると、平家物語も読んでみようかなって気持ちになる本です!
「源平姫」ではさらっと紹介程度だったお姫様たちも、この本ではしっかり章として詳しく書かれています。
源平姫で気になった姫がいたら、この本も読んでみると楽しめますよ!
まとめ
源平姫を読むと、源氏と平氏、平家物語に自然と興味がわきます。
絵柄も可愛らしいので、子どもも喜んでくれると思います!
参考になったら嬉しいです。
戦国姫シリーズや、歴史に興味を持てる本についての記事もあるので、よかったら読んでみてくださいね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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